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パーキンソン病・ALSなど進行性の難病をお持ちの方へ

パーキンソン病とは

パーキンソン病とは
パーキンソン病は、震えや筋肉のこわばり、動きの遅さ、不安定な歩行などの運動障害を特徴とする神経系の疾患です。
発症は主に中高年に多く、日本では特に女性に見られますが、欧米では男性の発症が多いとされています。
若年性パーキンソン病と呼ばれる、40歳以下で発症するケースもあります。
人口の高齢化に伴い、患者数は増加傾向にあります。

パーキンソン病の症状

運動症状

パーキンソン病の症状

パーキンソン病の初期段階で見られる主な運動障害には

  • 静止時振戦
  • 無動
  • 筋強剛(きんきょうごう)
  • 姿勢反射障害

があり、これらはパーキンソン病を診断するための重要な手掛かりとなります。
特に、無動と静止時振戦あるいは筋強剛が認められる場合、パーキンソン病の可能性が高くなります。
初期には体の片側にのみ症状が現れますが、徐々に両側に広がることが多いです。

無動

素早い動きができなくなり、特に歩行時の足の動きが悪くなります。
また、話す声が単調になり、声や書く文字が小さくなることもあります。

筋強剛

肩や膝、指などの筋肉が硬くなり、動きにくくなり、時には痛みを伴うこともあります。
顔の筋肉がこわばることで、表情が乏しく感じられることもあります。

静止時振戦
(せいしじしんせん)

じっとしているときに手足が震える状態で、多くは片方の手足から始まります。
睡眠中は震えが収まりますが、覚醒時に再び始まります。

姿勢反射障害
(しせいはんしゃしょうがい)

バランスを保ちにくくなり、転倒しやすくなります。
歩行時の急停止や方向転換が難しくなります。
進行すると、首が下がる、体が斜めに傾くといった症状が見られることもあります。

非運動症状

  • 便秘や頻尿
  • 発汗異常、むくみ、冷え
  • 起立性低血圧(立ちくらみ)、食事性低血圧(食後のめまいや失神)
  • 性機能障害

など

嗅覚障害

においが感じられなくなる

精神症状

  • うつ状態や不安
  • 幻覚や錯覚、妄想
  • アパシー(身の回りのことへの関心が薄まることや洗顔や着替えなどをする気力がなくなる状態)

など

認知障害

  • 遂行機能障害(計画や実行の困難)
  • 物忘れがひどくなるなどの認知症の症状

など

睡眠障害

不眠や日中の過剰な眠気

疲労や疼痛、体重減少

  • 疲労感
  • 肩や腰の痛み、手足の筋肉痛やしびれ
  • 体重減少

など

急増するパーキンソン病

急増するパーキンソン病パーキンソン病は、特に高齢者でよく見られ、近年増加傾向にあることが明らかになっています。
この増加の理由としては、高齢者の増加や診断技術の進歩、治療の進歩による寿命延長が考えられます。
そのため、超高齢化社会を迎える中で、パーキンソン病の増加は確実です。
ご利用者様の生活の質やご家族様の介護負担に大きな影響を与えるため、パーキンソン病への社会的理解の深まりが望まれます。

パーキンソン病のご利用者様へ当ステーションの役割

服薬内容の見直し

パーキンソン病の治療には薬物療法が中心となりますが、薬の種類や服用回数の多さ、認知機能への影響により、服薬ミスや忘れが起こりがちです。
そのような点から、当ステーションでは、服薬の正確性を高めるためのアドバイスや工夫をご提案し、ご利用者様やご家族様とともに薬の管理計画を立てます。
また、薬剤師などによる服薬指導を強化し、薬の効果や副作用、正しい服用方法について詳しく説明し、病状の変化に応じた服薬計画の調整をサポートします。

暮らしやすい生活環境の整備

急増するパーキンソン病パーキンソン病による転倒リスクを減らし、より快適な生活を送れるように、生活環境の改善をサポートします。
家の中の安全性を高めるための具体的なアドバイスや改善策を提供し、ご利用者様一人ひとりの状態やニーズに合わせた生活環境の整備を促します。
例えば、家具の配置の見直しや滑りにくい床材の導入、手すりの設置などがあります。

パーキンソン病の訪問看護に
医療保険が適応されるためには

パーキンソン病が進行し、日常生活に支障をきたす場合、訪問看護サービスの利用に医療保険を適用することができます。
特に、ホーエン・ヤール分類でⅢ度以上かつ生活機能障害度がⅡ度またはⅢ度の方には、医療保険が優先的に利用されます。
ただし、医療保険を適用するためには、主治医にホーエン・ヤールの重症度分類と生活機能障害度を訪問看護指示書に記載していただく必要があります。

ALS(筋萎縮性側索硬化症)とは

ALS(筋萎縮性側索硬化症)とは
ALS(筋萎縮性側索硬化症)は、体の筋肉を動かす運動ニューロンが障害され、全身の筋力が低下する病気です。
この病気は運動を司る神経細胞の両タイプ(上位と下位運動ニューロン)がダメージを受け、筋肉への指令が伝わらなくなり、体の自由を奪われます。
10万人に7~11人の発症率を持ち、男性が女性よりもやや高い発症率を示します。

ALS(筋萎縮性側索硬化症)の
初期症状

細かい作業がしづらい

服のボタンを留める動作が難しくなる
など

何もないところでつまずく

特に障害物がないにも関わらず、今まで通りの歩行でつまずくことが多くなる
など

物が重いと感じる

以前は問題なく持てた物が、重く感じられるようになる。
など

口が動かしづらい

話す時や食事をする時に、口が上手く動かせない感覚が生じる
など

ALS(筋萎縮性側索硬化症)の
進行期の症状経過

ALSの進行期における症状の経過は、一貫して進行性であり、症状が軽減することはありません。
平均的な生存年数は発症後約3~5年とされ、筋肉の萎縮が進み、身体の動きが徐々に制限されていきます。
初期症状は個人差がありますが、最終的には全身の筋力が弱まり、歩行困難や話しにくさ、飲み込みの障害が現れます。
特に進行すると呼吸筋が弱まり、多くの方が呼吸不全となりますが、呼吸器の使用により生存期間が延びることもあります。
ただし、進行速度や症状には個人差が大きとされています。

ALS(筋萎縮性側索硬化症)への当ステーションの役割

ALS(筋萎縮性側索硬化症)への当ステーションの役割 ALS患者の訪問看護では、現在の状態だけでなく、週〜月単位などでの変化を観察する必要があります。
当ステーションのスタッフは、日常生活の支障や転倒のリスク、体重の変化、食事や水分摂取、排便管理、嚥下障害の有無、コミュニケーションの困難、精神状態の変化、不眠、家族の負担など、多面的な観点からご利用者様の健康状態を定期的にチェックします。
これにより、病状管理と生活の質の維持、ご家族様のサポートを実施します。