- 食事を食べたことを忘れるのは「認知症」の兆しかもしれません
- 「ご飯を食べていない」と言う
原因 - 認知症とは
- 「食事を食べたのにご飯を食べてない」と言うときのご家族様の
対処方法 - 食べたことを忘れる方へ
当ステーションの役割
食事を食べたことを忘れるのは「認知症」の兆しかも
しれません
食事を食べたことを忘れる現象は、特に認知症の方に見られます。
この症状は、脳の萎縮により満腹中枢の機能が低下し、食欲が増すことが原因です。
アルツハイマー型認知症では、食事をした記憶自体も失われることもあり、「まだ食べていない」と再び食事を求めることがあります。
このような行動は、ご本人が不安や孤立感を感じ、夜間に食べ物を探したり、家族がその行動に驚いて問題を指摘したりすることで、問題行動がさらに悪化する悪循環に陥ることがあります。
「ご飯を食べていない」と
言う原因
食事を摂ると通常、体内の糖質や脂肪などの増加により満腹中枢が刺激され、満腹感が生じて食欲が抑制されます。
しかし、認知症によって満腹中枢の機能低下や記憶喪失が起こると、食事を摂ったにもかかわらず、その事実を忘れてしまい、再び食事を求めることがあります。
認知症とは
認知症は、一度正常に獲得した認知機能が何らかの脳の障害により低下し、日常や社会生活に影響が出る状態です。
この状態はさまざまな原因で発生し、アルツハイマー型、レビー小体型、脳血管性認知症の3つの病型が認知症全体の大きな割合を占めています。
認知症の症状
認知症の症状は「中核症状」と「周辺症状」に分類されます。
「中核症状」には、記憶障害、見当識障害、判断力や理解力の低下があり、例えば、繰り返し同じ質問をする、物を紛失する、日時や場所の認識が困難になる、複数の作業の管理が難しくなるなども症状があります。
「周辺症状」には、幻覚、妄想、徘徊、介護拒否、興奮などがあり、これらは個人の性格や環境、人間関係などさまざまな要因が影響して出現するとされています。
中核症状はすべての認知症の方に見られますが、周辺症状は現れないこともあります。
「食事を食べたのにご飯を
食べてない」と言うときの
ご家族様の対処方法
認知症の方が「まだ食事をしていない」と訴えた際、対応次第では認知症の方の不安を煽る可能性があります。
このような場合の適切な対応方法を紹介します。
事実を伝える
信頼関係が築けている場合、食事を済ませたことを優しく伝えます。
「先ほど食べたばかりですよ」というように、事実を穏やかに告げることが時には効果的です。
もし、反論された場合は、誤解として認め、「すみません、勘違いしていました」と謝罪することで、相手を尊重します。
認知症の方の気持ちと上手く向き合いながら対応することが大切です。
否定しない
否定は認知症の方の不安を煽る可能性があります。
否定せずに「何が食べたいですか?」「準備を始めますね」などと伝え、その場を穏やかに進めます。
認知症の方が何を求めているのかを確認し、どうしたいのかを把握することが重要です。
食事回数を増やす
認知症の方が再度食事を求める場合、食事の回数を増やします。
ただし、1回当たりの量を減らし、過食や肥満のリスクを避けます。
柔軟な食事スケジュールで対応することが、認知症の方にとってもご家族にとっても心地よい解決策となります。
相手と同じ立場に立つ
自身も食べていないふりをして共感を示すことも効果的です。
「私もお腹が空いている」と共感し、共に食事を楽しみにする姿勢を見せることで、相手の不安を和らげ、信頼関係を深めます。
食べたことを忘れる方へ
当ステーションの役割
ご利用者様の不安の解消
認知症に関するお困りごとに、の不安を解消できるように対応します。
「食べたのに食べていない」という訴えや外出願望などには、具体的な対応方法を検討し、場合によっては薬剤での症状軽減も行いますが、関わり方の改善で解決する場合もあります。
解決策を見つけた場合には、ご家族様や他職種と共有し、同じように対応できるようにします。
家族支援
診断後のご家族様の不安や動揺に対応し、経験を共有しながら支援します。
ご家族様のこれまでの対応方法やご利用者様の過去の生活や人柄を理解することで、個別のケアプランを策定します。
必要に応じて他職種との連携も図り、地域による生活支援を行います。
意思決定支援
認知機能低下による意思表示の困難さに備え、事前に「もしも」の話し合いをおすすめします。
しかしながら、日々の生活の中で将来の意思決定について考えることは難しさもあるため、看護師が得た情報からもヒントを集め、医師やケアマネージャーと連携し、必要な情報を提供します。
これにより、ご利用者様とご家族様にとって最適な選択ができるようにサポートします。